残業ゼロでもブラック企業⁉

 来年4月から、働き方改革関連法が順次施行されます。その施策の一つに、残業時間の上限規制の厳格化(大企業:2019/4~、中小企業:2020/4~)があります。
 既に社会に定着してしまっている「ブラック企業」。明確な定義はありませんが、一般的には、長時間労働(残業)が当たり前になっている、残業代が支給されない、もしくはみなし残業で金額が低く固定されている、パワハラが横行している、など労働環境の劣悪な企業を指して使われています。このような企業では、離職率が高かったり、社員のモチベーションが低く、社内の雰囲気が暗くなったりするのも当然と言えるでしょう。

 しかしながら、残業時間が短く、その残業に対しても適切な残業代がきちんと支払われている、いわば「ホワイト企業」と呼べる企業であっても、社内の雰囲気が暗くなっているケースがあります。
 どうして、ブラック企業の対極に当たる、労働環境に大きな問題の見当たらないような企業でも、雰囲気が暗くなってしまうのでしょうか。
 いろいろなパターンがあるのですが、今回は代表的な2つのパターンを紹介したいと思います。

<パターン1:既存の業務だけで十分に収益を上げているケース>
 必ずしも悪い話ではないのですが、きちんと収益の柱が安定しており、またその柱となる業務自体も反復継続するような内容の場合、社員は担当する業務をひたすら回していけばよいという雰囲気になり、マンネリ化することがあります。
 例えば、ニッチな分野でシェア1位(=ライバルのいない)の企業では、そのような傾向に陥ってしまうかもしれません。問題が起こったとしても、既に解決策が過去の事例として存在していて、新しく考えようという社風が失われており、それで問題も解決できてしまうため、膠着した暗く重い空気が漂いがちなのです。
 このような場合には、新規事業にチャレンジする等、社員にとって自分で創り出すような業務や雰囲気を生み出す助けを、企業側で推進することができるでしょう。

<パターン2:社長がすべて決定し、社員は作業者でしかないケース>
 創業社長に多い事例ですが、すべての企画立案や決定権が社長にあるケースも、理由の一つに考えられます。このような企業では、業績は好調なのですが、社員は指示されたことをやる作業者でしかなく、モチベーションが低くなってしまうことがあります。
 社員が意見を言ったとしても、すべての決定は社長の一存次第で、意見が聞き入れられる雰囲気が無いため、そのうち誰も意見を言わなくなってしまうのです。


 2つのパターンに共通している点は、社員が、会社に認められていないと感じていることです。人のモチベーションは、給与だけではなかなか上げることはできません。給与とはあくまでも不満を抑えるものであって、満足に通じるものとはなりにくいのです。
 承認されていること自分で何か変化を起こせることこそが、モチベーションアップの要因となるのです。

 自社を振り返ってみて、普段の何気ない瞬間の社内の雰囲気はどうですか。
 暗いなと思ったら、労働環境には気を配っているのにと思ったら、社員のマネージメントにも目を向けて、やりがいのある職場づくりを考えてみるのはいかがでしょうか。


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