うつで復職してきた部下の配置転換のメリット・デメリット

 うつ病をはじめとしたメンタルヘルス不調で休んでいた部下から、ある日復職可である旨の診断書が提出されてきました。そこにはもう一文「異動が望ましい」と書かれてあり、対応に悩んだ管理職が相談に来られました。

配置転換は働く環境を一新することになるので、メリットとデメリットがあります。

◎配置転換のメリット
 配置転換には「環境をリセットできる」というメリットがあります。元の職場にストレスの維持要因があるような場合で、本人の努力では回避できそうにない場合には、配置転換が必要と判断することになります。
 
◎配置転換のデメリット
 配置転換後にメンタルヘルス疾患が再発して、再度休職するというのはよくみられることです。
その理由として、
1.未経験の業務内容に触れることで、新たに覚えることが増えそれが精神的に負担になる
2.人間関係を新たに構築することとなり、面識のない上司と同僚とのコミュニケーションが負担になる
3.経験年数に伴う過去の業績やスキルが生かされず、孤立感を味わう等が挙げられます。

配置転換の可否をどのように判断すべきか?

 以上のように配置転換にはメリットデメリットがあります。安易な配置転換はかえってメンタル不調を再発させる危険性が高いのです。
 配置転換の判断をする際には「配置転換ではなく今の職場で対応できることはないか?」をまず、はじめに検討することをお伝えします。
 また、復職直前はまだ症状が安定していないことが多いため、そのような時に重大な決断をさせることをは避けるべきと考えます。そのため、まずは現職に復帰させ、様子を見ることをお勧めしています。

わすれがちな視点は・・・。

 このようにメンタル不調者への対応を検討していると忘れがちな視点が、メンタル不調者の周囲の人へのバランスです。一生懸命メンタルヘルス対策をすることは素晴らしいことなのですが、往々にしてその周囲の人への配慮を忘れがちになります。
 
 言うまでもなく、一人が抜けた分フォローしているのは周囲の人です。初めは何とかみんなで頑張ろうと考えていても、会社がメンタ不調の方の方ばかりを見ていると、なにかバカバカしくなってしまうという例を、多く見てきました。
 メンタルヘルス対策とは、頑張っている人が万が一体調を崩しても、会社はきちんと見守ってくれるんだという、最後のセーフティネットであるべきです。決してさぼり得な制度ではありません。

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