ストレスチェック実施後に何をすべきか?

 2015年にストレスチェック制度が施行されてから3年が経過しました。
 ストレスチェックは、労働者が「常時50名以上」の事業場において実施義務が生じるものです。その実施義務ゆえに「とりあえずやってみた」という企業も多く、上手く活用できていない企業もまだまだ多いのが現状です。
 そこで、ストレスチェックの実施後にできること・やるべきことを幾つかご紹介いたします。

1.集団的分析の実施
 個人の結果を全体的に集計したものが集団的分析と呼ばれるものです。
 会社としては、ストレスチェックの個人結果は、個人の同意なく把握することができません。一方、集団的分析であれば、(個人のデータではなく集計されたものなので)個人の同意なく情報を把握することができます。
 同業他社や全国平均と比較することで、自社の労働環境がどの程度のストレス状況にあるのかを把握することができます。
 集団的分析は現行のストレスチェック制度では努力義務とされていますが、ストレスチェックの実施だけではメンタルヘルスにおける社内改善を実現するのは難しいものです。分析を通じて社内の状況を正しく把握し、改善策の検討につなげていくことをお勧めします。
 とはいえ、部署ごとに比較した場合、ストレス反応が高い部署に注意がいってしまい、何が悪いのかという“犯人捜し”になりがちです。そうではなく、例えば仕事の量が同じぐらいなのにストレス反応が低い部署があった場合、どのような良い取り組みをしているのか、成功事例をピックアップし共有していくようにしましょう。

2.研修の実施
 ここでご紹介する研修には2種類あります。
 管理職を対象としたラインケア研修、従業員を対象としたセルフケア研修です。ストレスチェックを実施した後は、従業員個人でも、ストレスに関する関心が高まっているタイミングですので、このタイミングで研修をすることはとても効果的です。

3.社外相談窓口の設置
 ストレス反応が高いと言われても、従業員はどうすれば良いのか悩んでしまうこともあるでしょう。
 そのようなとき、ストレスチェックと同時に、従業員が利用できる相談窓口を設置し案内すると、非常に効果的です。多少コストはかかり掛かりますが、社内外で相談できる体制を作ることが大切です。

4.セルフケア冊子の配布
 セルフケアに関する冊子を全従業員に配布することもお勧めです。ストレスチェックの個人結果と併せて配布することで、結果を受けて個人的に何ができるだろうか考える助けになりますので、より一層効果的になるでしょう。

5.自主的なストレスチェックの案内
 年に1回、会社としてストレスチェック制度を実施するほかに、インターネット上で社員が自由に実施できる簡単なストレスチェックを紹介することもできるでしょう。
 例えば、厚生労働省の「こころの耳」サイト内に「5分でできる職場のストレスセルフチェック」(https://kokoro.mhlw.go.jp/check/)というものがあります。「(月に1回など)定期的に自身の状態を把握しましょう」というメールを全社員に送るなどして、従業員のメンタルヘルスへの意識を変えることができます。

6.カウンセリング補助制度の創設
 社外相談窓口の設置が難しい場合は、例えば初回のみカウンセリングにかかった費用は最大1万円支給、といった形で補助制度を設けることも有効です。
 従業員がどこかにつながっている状態は、ストレスに強い体制づくりに必要なことです。


 1の集団的分析は是非とも行っていただきたい項目として、その他では後に挙げたものほど実施しやすい施策ではないかと思います。
 ストレスチェック制度で一番大切なのは、「やりっぱなしにしない」ことです。
 やりっぱなしにしてしまうと、従業員の間でもやっても仕方がないという雰囲気が生まれ、翌年以降のストレスチェックの受験率が低くなり、先細りになってしまいます。
 必ずストレスチェックから何らかの施策の実施につなげることで、社内のメンタルヘルス対策のきっかけになるようにしてください。

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